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UAゼンセン重点課題

産業政策

「白タク」行為等の取り締まり強化とライドシェア(TNCサービス型)の課題ならびに利用者の安全、安心を確保する制度構築

違法である白タク行為の撲滅に向けて、監視と摘発等の取り締まり強化を行うとともに、必要な法制化を行う。

また、自動車による旅客の運送は利用者の安全と安心が確保されなければならない。従って、それが確保できない自家用自動車による有償での旅客運送事業は導入するべきではない。いわゆるライドシェア(TNCサービス型)の導入を検討する場合であっても、利用者への安全対策や車両の点検・整備、任意保険制度への加入、ドライバー教育の実施などが法律によって義務化され、利用者にとって安全、安心な制度構築を前提に議論されるべきである。

宅配代行サービス事業においては、配達員(個人事業主)が法制度を順守できるよう必要な対策を講じる。

<背景説明>

○「白タク」行為等の取り締まり強化

国内においてタクシーを営業するには、運転手は第二種運転免許が必要であり、また、営業用車両は認可された車両(緑ナンバープレート)が必要である。

一方で、新型コロナウイルス感染症拡大以前、訪日前に観光客が国外の配車アプリを通じて事前に目的地・利用時間の登録および決済(料金の支払い)を行い、条件に合致する無資格ドライバーによる、自家用車を用いた観光地への案内や宿泊先までの送迎を手配する仕組みが近年構築され、外国人観光客の一部で利用が進んできた。特に羽田や成田、関西など主要国際空港を中心とした利用客が多く、日本の警察や空港も違法行為の横行は把握しながらも、集客から決済まですべて国外の配車アプリを利用するため、職務質問をしても「知人を迎えに来た」と誤魔化され取り締まりが困難な状況である。

また、国内では無許可で三輪自動車(トゥクトゥク等)を使用し観光客を乗車させ、運賃の授受をする営業や、自動車運転代行中に随伴車両に顧客を乗車させるなど、「白タク」行為が現在でも横行している。さらに、白タク行為が横行することにより、運転技術が未熟な運転手が増え、交通事故増加が危惧される。

今後、インバウンド産業が回復し外国人観光客が増加すると、「白タク」の問題も比例して増加傾向になる。こうした状況を踏まえ、スマホ配信アプリ本来のあるべき姿・果たすべき役割を検討したうえで、違法・無法営業の監視・取り締まり強化をはかり、早急に法制化を行う必要がある。

○ライドシェア(TNCサービス型)の課題と利用者の安全、安心を確保する制度構築

ライドシェアとは、仲介サイト事業者がIT技術を活用して、有償輸送サービスを提供する一般の運転者と利用者とをマッチングすることで手数料収入を得る事業形態のことである。現状は、国土交通省の見解では、「道路運送法に抵触した、いわゆる白タク行為」と認識されている。 有償運送事業であるタクシー業は、一個の契約により、乗車定員10人以下の自動車を貸し切って旅客を運送する道路運送法上の事業であり、事業用自動車には、緑地に白字(軽自動車タクシーは黒地に黄字)、3ナンバーまたは5ナンバープレートがつけられる。自家用自動車を用いて無資格で営業している者は「白タク」と呼ばれ、日本では違法である。

自家用車を有償で使うことは、災害のため緊急を要する場合と市町村や特定非営利活動法人などが公共の福祉を確保するため区域内の住民の運送などを行う場合を除き、禁止されている(道路運送法第78条)。

タクシー運転手の不足や新型コロナウイルス感染症拡大前の訪日外国人の増加によって、一部の経済団体がライドシェア導入の必要性と法制化を提起した。また、将来のライドシェアを見据えた移動サービスの実証実験も国内で一部開始されている。政府は、規制改革会議を中心にシェアリングエコノミーの中でもライドシェアに焦点を絞って、合法化に向けた検討を行っているが、運行管理や整備管理など既存の制度で担保されてきた生活者・利用者の安全が危惧される。

ライドシェアの合法化については、白タク問題を是正することにもつながると考えられるが、利用者・ドライバー双方への安心・安全のため、環境整備が必要である。

〇宅配サービス事業に関する法令順守の徹底

国内物流の人員不足が深刻化する中、ネット注文による宅配便貨物の需要が急激に増加している。このような状況を改善するため、タクシーを利用した有償での宅配サービス事業が特例として認められ、拡大するラストワンマイル市場の改善に取り組んできた。 一方、アプリから飲食などを注文し、配達パートナーが商品を客のもとへ届ける宅配代行サービス事業が急成長するなか、配送を行う車両の無届け営業が横行している。本来、営業認可(緑ナンバープレート)が必要な125㏄以上のバイクで配送業務を行う場合、国に運送事業経営届の提出が必要だが、配達員の多くは届出をしないまま配送業務を行い、貨物自動車運送事業法に違反(白ナンバーでの貨物輸送)している。また、自転車で配達を行う配達員も、信号無視やながら運転(スマホを使用しながらの運転)、高速道路走行などの交通ルール違反が多く、配達員の交通マナーが社会問題化している。

さらに、配達員は「個人事業主」である場合が多い。2021年9月の制度改正で、従来の自動車および原動機付自転車を使用する者に加え、自転車を使用して貨物運送事業を行う者も労災保険の特別加入制度の対象となっているが、被災時に配達員が適切な保護を受けることができるよう、制度の周知と適切な運用をはかる必要がある。

配達員に対する法制度の周知・徹底、安全に対する意識改革などの教育を実施し、必要があれば実効性のある法改正・整備をするとともに、雇用制度の見直しや保険制度の更なる整備などの対応が早急に求められる。