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UAゼンセン重点課題

労働・社会政策

働き方に中立的な社会保険制度の構築

すべての働く者に社会保険を適用させる制度の実現に向け、企業規模要件の速やかな撤廃とともに、労働時間要件等の検証などを進める。また、制度内容や趣旨の周知を強化し、確実な適用を進める。社会保険の適用拡大にあたっては、キャリアアップ助成金の活用促進や労使の保険料負担を軽減する措置を検討する。 特に、第3号被保険者制度を前提とした現行の年金制度については、制度趣旨や公平性、持続可能性の観点から十分な準備期間や激変緩和措置等を講じたうえで、負担能力に応じて保険料を負担する年金制度へと将来的に見直すべく丁寧かつ国民的な議論を行い、方向性を示す。 企業の配偶者手当の見直しについては、不利益変更に対する代償措置や十分な労使協議などが必要となることの周知徹底をはかる。

<背景説明>

社会保険に ついては 、2020年の法改正において、企業規模要件の段階的な引き下げ や、短時間 労働者に対する勤務期間要件の撤廃により、適用対象が拡大し ている。具体的には、202年10月 から従業員数101人以上の規模の事業所について(2024年10月からは51人以上)、1 週の所定労働 時間が20時間以上、2 賃金の月額が88,000円以上、3 勤務期間要件(現行、1年以上)は実務 上の取扱いの現状も踏まえて撤廃し、フルタイムの被保険者と同様の2ヵ月超、4学生でない、 の4つの基準をすべて満たしたときに、社会保険に加入することになる。現行制度への正しい理 解の促進や、被用者保険が適用される メリット (※)を周知し 、引き続き確実な適用をはかる必 要がある。 また、社会保障審議会年金部会において、次期年金制度改正に向けた議論が本格化し ている。 先の法改正で見送りとなった50人未満の企業への拡大については、企業規模で適否を変えること に合理性はなく、今次改正で企業規模要件は撤廃すべきである。なお、適用拡大にあたっては労 使の保険料負担を軽減するための措置などの対策を講じる必要がある。 加えて政府は 、多様な働き方を効果的に支える雇用のセーフテ ィネット の構築を目的とし 、雇 用保険法を改正し 、所定労働時間10時間以上の労働者への雇用保険の適用拡大を2028年度中にも 実施する予定である。制度間の整合性の観点からも、年金制度における労働時間要件等の引き下 げもオプション試算で検討が必要である。 また、法定最低賃金が毎年大幅に引き上げられる中、社会保険の適用を避けるため、労働者が 労 働 時 間 を 短 縮 し 、 就 業 調 整 を 行 う い わ ゆ る 「 年 収 の 壁 」 に つ い て は 、「 ま み に 聞 か せ て キ ャ ン ― 10 ― ペーン」へも見直しを求める声が多数寄せられている。 厚 生 労 働 省 の 「 パ ー ト タ イ ム ・ 有 期 雇 用 労 働 者 総 合 実 態 調 査 」( 2021年 10月 ) で は 、 有 配 偶 ・ パ ー ト 女 性 が 就 業 調 整 を し た 理 由 と し て 、「 配 偶 者 の 健 康 保 険 、 厚 生 年 金 保 険 の 被 扶 養 者 か ら は ずれ、自分で加入し なければならなくなるから」が6割弱と最も高い。また、202年のUAゼン セン組合員意識調査においても、就業調整を行っている有配偶・パート女性の場合、年収は「10 ~129万円」が約5割を占める。一方、野村総合研究所の「有配偶パート女性における就労の実態 と意向に関する調査」(202年9月)では、就業調整を行っている回答者のうち、約8割が、いわ ゆ る 「 年 収 の 壁 」 が な くな っ たら 、 今 よ り 多 く働 き た い と 回 答し て い る 。 被扶養配偶者の年金保障を目的に1985年に創設された第3号被保険者制度は、取り巻く社会経 済情勢、家族構成や価値観の変化を背景に、制度趣旨、性別役割分業意識の固定化、労働者間の 不公平感、働き方への影響や人手不足の助長などの観点から課題が顕在化きている。なお政府は、 2023年 9 月 に 「 年 収 の 壁 ・ 支 援 強 化 パ ッ ケ ー ジ 」 を 3 年 間 の 時 限 措 置 と し て と り ま と め 、 第 3 号 被 保 険 者 の 見 直 し も 含 め 、 2025年 の 年 金 制 度 改 革 で 議 論 し て い く と し て い る 。 今 次 改 正 で は 、 就 業意欲を阻害しない環境づくり、仕事・生活における多様な選択の尊重、被保険者間の公平性な どの観点から、当事者の声を踏まえたうえで、社会的な合意形成をはかり、年金制度見直しの方 向性を示すべきである。 配偶者手当を支給する企業の多くは、配偶者の収入について何らかの要件を設けている場合が 多く、厚生労働省の調査でも、有配偶・無期パート女性の2割程度が、就業調整を行う理由を 「一定額を超えると配偶者の会社の配偶者手当がもら えな くなるから 」とし ている。配偶者手当 については、厚生労働省が、支援パッケージにて、見直しを検討する企業向けにフローチャート を公開している。なお見直しに際しては、厚生労働省も「『配偶者手当』の在り方の検討につい て」(2023年1月改訂版)において、企業の実情を踏まえた労使の丁寧な話合いや、賃金原資総額 の 維 持 、 必 要 な 経 過 措 置 等 に 留 意 す る よ う 示し て お り 、 こ れ ら に つ い て も 、 一 層 の 周 知 が 求 め ら れる。

※ 厚生年金保険に加入すると、将来基礎年金に上乗せする形で報酬比例の年金(厚生年金)が終身で受給 できる。障害がある状態になった場合には障害基礎年金に加えて障害厚生年金が受給できる。死亡した場 合には遺族は遺族厚生年金を受給できる。また、医療保険(健康保険)の被保険者となることで、傷病手 当金や出産手当金など、ケガや出産によって仕事を休まなければならない場合に賃金の3分の2程度の給 付を受給できる。