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UAゼンセン重点課題

地域政策

交通弱者の支援強化

地域住民の日常生活を守るために誰もが買い物ができ、医療・介護、各種行政サービス等を受けられるよう、地域の実態を調査し、その結果を踏まえて、運行事業者・公共交通事業者への助成、移動販売事業や商業施設の開設・運営への支援、安全・安心を前提としたシェアリングエコノミーや将来における自動運転技術の活用等移動手段の確立等、必要な対策を推進する。

<背景説明>

人口減少や少子高齢化等を背景とした流通機能や交通網の弱体化等の理由により、買い物などの日常的な移動に困難を抱える「交通弱者」・「買物弱者」が増加している。農林水産政策研究所の推計値によると食料品アクセス困難人口(店舗まで500m以上かつ自動車利用困難な65歳以上高齢者)は、2020年時点で904万3千人にのぼっている。一方、「交通弱者」・「買物弱者」は、地方における過疎地に限らず中心市街地でも増加していることもあり、地域で暮らす誰もが安心し生活を営めるよう、自治体には早急な対策が求められる。

2023年4月より、車載カメラで遠隔監視を行うことや事故時には事業者がかけつけることなどの条件の下、運転者が不要となる自動運転「レベル4」が解禁された。過疎地域における交通弱者対策やドライバー不足解消につながることが期待されており、導入に向けた検討を進めていくべきである。

タクシー会社が運営主体となる日本版ライドシェアについては、2024年4月に東京都、神奈川県、愛知県、京都府の一部地域で解禁された。今後、政府は2024年6月までに更なる規制の見直しを検討する方針であり、利用者等の安全・安心の確保の観点で注視が必要である。

また、改正地域交通法(2023年10月施行)により、赤字ローカル鉄道のあり方について、自治体または鉄道事業者は国に対して協議会(再構築協議会)の設置を要請することが可能となった。この新たな枠組みに基づき、2024年3月には、広島県と岡山県を結ぶJR芸備線の今後のあり方を検討するための再構築協議会が発足し、国・鉄道事業者・沿線自治体・関係事業者・学識経験者による検討が行われている。今後、地域における公共交通のあり方を検討を進めるにあたっては、改正地域交通法の枠組みの活用を推進していくべきである。

[交通弱者対策の事例]

  • 五所川原市(青森県):
    地域住民が参加する地区活性化協議会と青森県民生活協同組合が協定を結び、2017年より移動販売を実施している。協議会が運転手の確保・車輛運行ルートの選定など運行全般を、生活協同組合が商品仕入れ・ドライバー研修を担当している。ドライバー兼販売員としてかかわる民生委員が、高齢者の見守りもあわせて実施している。
  • 七ヶ宿町(宮城県):
    地元住民、事業者、関係者等と協議会を開催して協議を重ね、2016年に町、生協、コンビニ企業間で包括的な連携協定を締結した後、用地取得、店舗建設費等は町が負担し、2017年にコンビニ一体型店舗を開設した。また、施設敷地内に町営バスの停留所も新設した。
  • 取手市(茨城県):
    2017年に茨城県が創設した「生活環境支援づくり事業」を活用し、移動販売の実施事業者に対し支援を実施している。事業者に、商品販売だけでなく、顧客である高齢者等の近況の相談、安否確認、世話役的なことをする買物補助員を配置してもらい、その人件費の一部を補助している。
  • 越谷市(埼玉県):
    生活支援体制整備事業の一環として、地域内にスーパーマーケットが一軒もない地区で移動スーパーを行う事業者を支援している。
  • 志賀町(石川県):
    地域包括支援センター職員と生活支援コーディネーターが、町内で日用品・食料品等をあつかっている店舗等をすべて訪問し、「買い物支援協力店(移動販売、配達等を行う店舗)」の登録を呼びかけ、登録のあった店舗情報について町の広報誌に掲載している。
  • 永平寺町(福井県):
    2016年に国の自動運転実証地域公募に応じ、2018年より自動運転車の走行を開始。2023年3月30日には、使用する車両が全国で初めて自動運転車(レベル4)として国土交通省の認可を受けた。
  • 飯綱町(長野県):
    「交通空白地域0%」を町の方針に掲げ、2007年にデマンド交通システム「iバス」を開始。ITを活用し、利用状況に応じた最適な巡回経路を作成するなど効率的な運行管理を進めたことにより、事業コストの削減につながり、地域における持続可能な公共交通サービスが実現。
  • 大津市(滋賀県):
    道が狭く路線バスの運行が困難な晴嵐台地区住民の強い要望を受け、県の補助事業を活用し、市、運送業者、学識経験者等で構成する「地域公共交通活性化協議会」が2017年よりデマンドタクシーの運行の実証実験を行っている。
  • 五島市(長崎県):
    奥浦地区のまちづくり協議会が2015年から買い物宅配支援を実施しており、「自分の目で見て商品購入をしたい」との利用者の要望を踏まえて2017年より新たに買い物送迎の支援を実施している。具体的には、まちづくり協議会が所有する送迎車が地区の全集落を巡回し、店舗までの送迎を実施している。運転はまちづくり協議会の役員、民生委員、児童委員等がにない、高齢者の孤立やひきこもりの解消にもつながっている。