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重点継続課題

労働・社会政策

破産時の労働債権確保に向けた対策

破産時の解雇にともなう賃金や解雇予告手当等の未払いは労働基準法違反であることの周知を強化するとともに、違反案件に対しては適切な捜査や立件などを行い、破産時の賃金等の未払い発生を防ぐ対策を講じる。

また、破産手続における労働債権の優先順位を引き上げる。

未払賃金の立替払制度については、倒産前6ヵ月以内での退職とされる要件の緩和や限度額の引き上げなど、制度の拡充をはかる。

<背景説明>

破産手続開始申立の際に従業員が即日解雇される場合、資金不足を理由に、賃金や解雇予告手当あるいは退職金が支払われないケースが多い。明らかに労働基準法違反であるが、その認識が足りない経営者がいる。また、労働局等による捜査あるいは検察による起訴に至るケースはまれである。労働者保護の観点から、解雇にともなう賃金や解雇予告手当等の未払いは労働基準法違反であることの周知強化や適切な捜査、立件など、破産時の未払い賃金等の発生を防ぐ対策が必要である。

破産法では、破産手続開始前3ヵ月間の賃金債権は財団債権、それ以外の賃金債権は優先的破産債権となる。退職金は、退職前3ヵ月間の賃金総額に相当する額が財団債権、それ以外は優先的破産債権となる。財団債権として認められる労働債権と公租公課は同順位である。労働債権に対する保護を強化するため、財団債権として認められる労働債権の対象を広げるとともに、公租公課より優先順位を引き上げる検討が求められる。

未払賃金の立替払制度は、破産手続開始等の申立日の6ヵ月以内で退職した場合が対象とされる。解雇予告手当等は立替払の対象とならない。立替払される金額は、未払賃金総額の80%で、退職日の年齢による限度額がある(45歳以上296万円、30歳以上45歳未満176万円、30歳未満88万円)。労働者保護を強化する観点から、倒産前6ヵ月以内の退職といった要件の緩和、解雇予告手当も対象に含めること、限度額の引き上げなど、制度の拡充をはかるべきである。

なお、法制審議会担保法制部会は2022年12月に「担保法制の見直しに関する中間試案」を取りまとめた。動産や債権を担保に新たな資金調達方法を広げる譲渡担保権を法律上明記することや、企業の総財産(労働契約も含む)を担保に資金調達を行うことを可能とする新たな事業成長担保権について、担保権の実行時に労働債権を担保権者より優先的に弁済させる枠組みや事業譲渡時に雇用を承継することを原則とすることなどが示された。しかし、今回の中間試案では、労働債権の優先順位を引き上げるなど労働債権保護の強化に向けた方向性は示されず、課題が残っている。