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重点継続課題

地域政策

空き家対策の推進

市区町村は、空家等対策特別措置法に基づく法定協議会を設置し、空家等対策計画の作成や実施に取り組む。法定協議会の設置にあたっては、地域住民、学識経験者、専門家等と連携がはかられるよう、多様な人材を登用する。

空家等対策計画策定・法定協議会設置市区町村においては、各地域の状況を勘案しながら適切な計画の策定および多様な人材との連携がはかられているか等の点検を行い、計画変更や法定協議会の再編成を行う。

また、移住者や低所得者、高齢者、障がい者、子育て世帯、外国人、被災者などの住居用として空き家を有効活用していくために、空き家バンクを設置する等、具体的な取り組みを進める。

<背景説明>

2018年総務省の住宅・土地統計調査によると、空き家率(住宅総数に占める空き家の割合)は13.6%で過去最高となっている。また、空き家総数はこの20年で約1.5倍となる848万9千戸に増加しており、内訳は、①賃貸用・売却用462万戸、②別荘など二次的住宅38.1万戸、③その他住宅(親の死亡後そのままになっている等、借り手や買い手を募集していない)348.7万戸である。総住宅数が総世帯数を上回ったのが1968年で、当時の空き家率は4%であった。その後、住宅の大量供給が続き、空き家率も上昇を続けている。2013年の数字と比較して、①②はほぼ横ばいだが、③が9.7%も増えており、③への対応が求められる。空き家の増加は、安全性の低下、公衆衛生や治安の悪化、景観の阻害、不動産価格・ブランド価値等の低下を誘発し、地域においては、さらなる人口減少につながり、結果として、空き家がさらに増加するという悪循環を生んでいる。働く者の存立基盤である地域が疲弊する中において、活力ある地域社会の実現や生活者の暮らしの向上は喫緊の課題であり、2015年には空家等対策特別措置法が施行され、市区町村の取り組みに対する国の財政や税制上の支援が用意された。

市区町村は、空家等対策特別措置法に基づき、空家等対策計画の作成ならびに実施に関する法定協議会を設置することが可能となった。国土交通省の2023年度末時点での調査によれば、市区町村における空家等対策計画の策定状況は策定予定の市区町村も含めれば全市区町村の約94%(策定済み1,450市区町村、策定予定195市区町村)、法定協議会の設置状況は、設置予定の市区町村を含めれば約69%(設置済みは992市区町村、設置予定は215市区町村)となっており、各自治体において取り組みが一定程度進んでいる。

計画策定・法定協議会設置市区町村においては、各地域の状況を勘案しながら適切な計画を策定するとともに、建築士、宅地建物取引士、不動産鑑定士、土地家屋調査士、社会福祉士等、外部有識者等との連携が取れているか等確認し、必要であれば計画変更および構成委員の再構築を行う必要がある。

また、増加する空き家対策のため、空き家バンクを設置する自治体が増加し、2019年10月時点で全自治体のうち約7割の市町村が空き家バンクを設置している(国土交通省・2019年10月実施アンケート)。移住者や低所得者に加え、住宅セーフティネット法で定める高齢者、障がい者、子育て世帯、生活困窮者、外国人や被災者など住宅確保要配慮者向けに空き家の有効活用をさらに進めていく必要がある。

さらに、2023年の第211 回通常国会において、空家対策特別措置法改正案が可決成立した。法改正により、空き家に対する固定資産税課税強化(※)や自治体による特定空家除去の代執行の円滑化などが規定された。今や、空き家問題は全国に広がっており、各自治体は国をはじめとした関係諸機関と連携しながら対策を進めていくことが求められる。

※倒壊リスクのある空き家に対しては、自治体が「特定空家」に指定することで固定資産税の減免特例から除外されていたが、法改正により放置することで「特定空家」に至るおそれのある物件についても、自治体が「管理不全空家」と指定すれば固定資産税の減免特例から徐外されることとなった。

[地方自治体の取り組み事例]

  • 京都市:
    2022年3月の市議会定例会にて、別荘や空き家の所有者に対して新税「非居住住宅利活用促進税」を課税することを盛り込んだ条例が成立。普段住んでいない物件を対象に固定資産税の評価額に応じて新税を課税し、空き家対策の財源に充てる方向で課税や徴収システムの構築が進む(2026年施行予定)。
  • 薩摩川内市(鹿児島県):
    「空き家バンク成約助成金」制度を導入。空き家バンクで成約がなされた「空き家所有者」と「利用希望者」(市外からの転入者に限る)の双方を対象とし、家財の撤去費用、引越し費用、物件の補修など、空き家バンク成約時に発生する諸費用負担軽減のため、最大で30万円の奨励金を支給。