重点継続課題
産業政策
革新的な医薬品・医療機器等を創出し、良好なアクセスと安定供給を支える 制度の構築
革新的な医薬品・医療機器等を生み出し、確実な安定供給が実現できるよう、まずは中間年改定を廃止する。そのうえで、インフレ経済への移行を踏まえ、薬価・材料価格制度の抜本的な見直しを推進するとともに、薬事等にかかる各種規制の緩和、国際調和をさらに推進する。
イノベーション促進の観点からは、シンプルに特許期間中の価格を維持する薬価・材料価格制度へと見直しをはかる。また、ビッグデータやAIの活用を念頭に、産官学連携事業をこれまで以上に推進する。さらに、研究開発人材の確保・育成の観点から、産官学での人材交流の支援および基礎研究に対する研究費拡充や研究員に対する給与・待遇改善のサポート等の仕組みの導入を検討する。
グローバルに競争力のある人材を確保し、さらなる投資を呼び込むイノベーション
エコシステムの育成に向けて、公的投資の拡充や各種支援制度の充実をはかるとともに、オープンイノベーション型をはじめとする研究開発税制のさらなる拡充を検討する。
安定供給の観点からは、必要な設備・人材投資をはかりつつも不採算に陥ることのない薬価・材料制度へと見直す。また、原薬・原材料等の国内生産・供給体制に向けた必要な財政支援や税制を導入するとともに、薬価制度の根幹である個々の医薬品の価値に基づく適正な市場実勢価格の形成を実現するために、流通改善ガイドラインの実効性を確保するとともに、取引慣行是正の取り組みを推進する。
〇各種制度の見直し
中間年改定は、2016年12月に当時の4大臣によって決定された「薬価制度の抜本改革に向けた基本方針」に基づき実施されているが、本方針が決定された当時とは、前提や取り巻く環境が大きく変化している。(インフレ経済へと移行し、前提である流通改善が不十分など)
終わりの見えない供給不安に終止符を打ち、品質の高い医薬品を安定供給し続けることができるよう、過度な薬価引き下げの主要因である中間年改定は廃止あるいは一時停止すべきである。
企業が継続的に研究開発投資を行い、イノベーションを継続的に生み出すことができるよう、特許期間中の価格をシンプルに維持する制度へと見直したうえで、イノベーションを適切に評価できる薬価算定方式や物価上昇を価格に反映することが可能な制度の創設が必要である。
また、度重なる価格の引き下げによって、不採算生産実態の拡大が報告されている。万が一にも安定供給に支障をきたすことのないよう、必要な医薬品や保険医療材料価格を下支えする制度の見直しが必要である。
費用対効果評価制度は、必要な医薬品や医療機器への患者アクセスを阻害することのないよう、多様な医薬品や医療機器の価値を評価し得る制度へと見直すべきである。
〇産官学連携事業の推進、イノベーションエコシステムの構築
イノベーション促進の観点からは、ビッグデータの構築、利活用に向けた基盤整備等が求められており、関連法規の整備や中長期の視点に立った産官学連携事業の推進が必要である。
また、医薬品、医療機器、先端医療技術(再生医療等)、先制医療をはじめ世界をリードする日本発・世界初のイノベーションを生み出すには、アメリカのボストンをはじめとする投資やベンチャー企業、グローバル人材を呼び込めるエコシステムの形成が不可欠である。現状、我が国の拠点整備は極めて限定的であり、公的投資(政府支出)の大幅な拡充や各種支援制度の恒久化を通じた国際競争力の強化が求められている。
また、研究開発のあり方が垂直統合型から水平分業へとシフトしつつあり、創薬や医療機器開発にかかるイノベーティブな人材の育成や確保、オープンイノベーションの推進に向けた支援が必要である。
〇産官学での人材交流の支援
企業とアカデミア、関係省庁等の間での人材交流は、多様な研究者が力を発揮するオープンイノベーションのきっかけとしても重要である。企業とアカデミアとの間での人材の相互受け入れにかかる支援制度の構築や産官学での人材交流の枠組みの設置について検討する。
〇ポスドクの処遇改善および研究開発環境の整備
我が国の大学等のアカデミアには、正規の研究ポストが少なく、収入面も含め、研究者としてのキャリアが描きづらい実態がある。アカデミア・研究機関における基礎研究に対する研究費拡充や研究員(特にポスドク)に対する給与・待遇改善のサポート(アカデミア等の研究活性化)等の仕組みの導入について検討する。
〇研究開発税制のさらなる拡充
創薬の成功確率は極めて低く、その開発には長い年月と多額の費用を要する。我が国は世界で数少ない新薬創出国であるが、モダリティの多様化もあり、創薬のハードルは年々高まっており、国際競争力を維持し、さらに高めるためには、上述の創薬エコシステムの構築に加え、税制等の支援措置をさらに拡充すべきである。
今般、拡充・延長されることとなった研究開発税制が、企業の研究開発投資にどのような影響をおよぼしたのか検証したうえで、日本国内における研究開発投資、とりわけオープンイノベーションが促進されるようさらなる見直しを検討すべきである。
〇流通改善の取り組みの推進および国内生産供給体制の整備
流通改善ガイドラインのもと、流通改善の取り組みが進められてきたが、経営悪化を背景として医療機関や薬局等の価格引き下げ圧力が高まったこと、さらには6年に亘って継続する医薬品の供給不安にともなう需給調整業務がひっ迫し、対応に忙殺されることで流通改善の取り組みが停滞しているとの声がある。薬価制度の根幹を支える個々の医薬品の価値に基づく適切な市場実勢価格を形成するために、引き続き「医療用医薬品の流通改善に関する懇談会」において、ガイドラインに基づく取り組みの進捗を定期評価するとともに、必要な指導、対策を強化するべきである。
また、有事の際に医療上必要性の高いワクチンや医薬品、保険医療材料を国内で生産・供給できるよう、国内生産体制の整備を進めるとともに、備蓄や買取りといった平時からの支援制度についても強化すべきである。



