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UAゼンセン重点課題

労働・社会政策

働き方に中立的な社会保険制度の構築

すべての働く者に社会保険を適用させる制度の実現に向け、企業規模要件の速やかな撤廃とともに、労働時間要件を雇用保険の適用要件とあわせる。また、制度内容や趣旨の周知を強化し、確実な適用を進める。社会保険の適用拡大にあたっては、キャリアアップ助成金の活用促進や労使の保険料負担を軽減する措置を導入する。
特に、第3号被保険者制度を前提とした現行の年金制度については、制度趣旨や公平性、持続可能性の観点から見直しを行う。その上で、就労が困難な人々(病弱者、軽度の障がい者、子育て・介護・失業・学び直し中の者など)に対する基礎年金の保障の必要性を踏まえ、現行制度が果たしている役割を十分に検証し、準備期間や激変緩和措置等を講じながら、将来的には第1号・第2号・第3号といった被保険者区分を廃止し、すべての人が所得比例年金制度に加入する方向で制度改革を進める。
医療保険制度においては、適用範囲の拡大が被保険者の保険料や保険者の財政・運営に影響を及ぼすため、その在り方について着実に議論を進める。
企業の配偶者手当の見直しについては、不利益変更に対する代償措置や十分な労使協議などが必要となることの周知徹底をはかる。

<背景説明>

社会保険制度は、これまで企業規模や労働時間等の要件に基づいて適用が制限されてきたが、2020年以降の制度改正により、段階的に適用範囲が広がっている。特に2022年からの企業規模要件の緩和により、パートタイムや短時間労働者への適用が進み、制度の裾野が広がってきた。今後は、対象となる労働者および事業者に対して、制度の趣旨やメリット※(将来の年金・医療保障等)を周知徹底することが不可欠である。また、2025年の年金制度改正に向けて、社会保障審議会年金部会では、第3号被保険者制度の見直しを含めた幅広い制度改正が議論されている。被用者保険の企業規模要件や賃金要件の撤廃、さらには週10時間以上への労働時間要件の緩和等、働き方に中立的な制度設計の方向性で意見が一致しつつある。

「年収の壁」による就業抑制については、UAゼンセンの意識調査等でも実態が明らかであり、多くの組合員が「年収上限がなければもっと働きたい」との声をあげている。

特に、年収106万円・130万円の壁が労働時間の調整につながり、人手不足の深刻な業種に大きな影響を及ぼしている。

第3号被保険者制度は、1985年の創設以来、被扶養配偶者の老後保障を支えてきた制度であるが、家族形態の多様化や共働きの増加、女性の就業率の上昇により、時代との乖離が指摘されている。

「性別役割分業」的な価値観の温存や、非正規雇用者との不公平感、就業抑制の誘因など、制度的課題が顕在化しており、丁寧な議論を経た上で、将来的な廃止に向けた改革が必要である。

その上で、就労が困難な人々(病弱者、軽度の障がい者、子育て・介護・失業・学び直し中の者など)に対する基礎年金の保障の必要性を踏まえ、現行制度が果たしている役割を十分に検証し、激変緩和措置を講じながら、負担能力に応じた公平な年金制度への移行を進める。制度移行にあたっては、就労の多様性が保障されることを前提とし、短時間労働者の時間単位の最低賃金目安を1,500円に引き上げることや、「103万円の壁」の引き上げによって税・保険料負担のバランスが確保されることを条件に、段階的な廃止を含む制度改革を検討する。

将来的には、所得比例年金制度を基本とする年金制度への移行を見据え、第3号被保険者制度を廃止する方向で丁寧な議論を進める。その際、すべての人が支え合う「全世代型社会保障」の理念に基づき、負担と給付の公平性を確保しつつ、社会的包摂の視点からセーフティネットの整備を図る。

一方、医療保険については、適用拡大による保険者負担や財政への影響も大きく、年金制度とは別に議論を整理することが重要である。 給付の性質の違いを踏まえた制度設計が求められる。

配偶者手当についても、制度の見直しは賃金制度や家庭の経済基盤に影響を与えることから、十分な労使協議と経過措置、代償措置の導入など、丁寧な対応が不可欠である。

厚生年金保険に加入すると、将来基礎年金に上乗せする形で報酬比例の年金(厚生年金)が終身で受給できる。障害がある状態になった場合には障害基礎年金に加えて障害厚生年金が受給できる。死亡した場合には遺族は遺族厚生年金を受給できる。また、医療保険(健康保険)の被保険者となることで、傷病手当金や出産手当金など、ケガや出産によって仕事を休まなければならない場合に賃金の3分の2程度の給付を受給できる。