UAゼンセン重点課題
地域政策
カスタマーハラスメント(悪質クレーム)対策の推進
「サービス等を提供する側と受ける側がともに尊重される社会」の実現をめざし、一部の消費者による一般常識を超えた不当な要求や異常な態様の要求行為等のカスタマーハラスメント(悪質クレーム)の抑止・撲滅を推進する。
具体的には、カスタマーハラスメントの根絶を謳う条例制定や、倫理的な行動を促すための啓発活動や消費者教育を実施する。また、カスタマーハラスメント(悪質クレーム)の実態調査を行い、対策に関する研究を行う。
<背景説明>
人格を否定する暴言や同じ内容を何回も繰り返すクレーム、長時間拘束や土下座による謝罪の要求、威嚇・居座り等、明らかに一般常識を超えたカスタマーハラスメント(悪質クレーム)は深刻な問題である。コロナ禍においては、流通・サービス業のエッセンシャルワーカーへのカスタマーハラスメント(悪質クレーム)がより深刻となり、社会的にも注目された。このようなクレームは働く者に大きなストレスを与え精神疾患を招くだけでなく、働く魅力を阻害し働き手不足を招き、販売機会のロスや対応コストの負担により賃金の源泉となる企業利益を損なう。なお、2023年9月には労災認定基準の改正により業務による心理的負荷に「カスタマーハラスメント」が追加された。
自治体においては、カスタマーハラスメントは、流通・サービス業にとどまらず、人と接するあらゆる産業において起こっている社会的な問題であることを改めて認識するべきである。したがって、その抑止・撲滅に向けては、まず実態を把握し対策について研究するとともに、事業者に対する周知活動や悪質ではない倫理的な消費行動を促す消費者教育等を推進することが必要である。
[地方自治体の取り組み事例]
- 北海道:
ホームページにてUAゼンセン製作のCM動画を案内している。道内企業に対してカスタマーハラスメントに関する調査を実施した。- 札幌市(北海道):
2023年7月から市役所本庁舎1階の市民の声を聞く課や各区総務企画課広聴係などにカスタマーハラスメント防止啓発ポスター掲示を開始。
市民の声を聞く課では、暴言などのカスタマーハラスメント行為の予防を目的とした通話の録音を試行的に開始。市民への周知が進むと共に録音を意識し暴言等を控える傾向があることを踏まえて、2024年1月4日より各区総務企画課広聴係で通話の録音が開始されることなった。
統一的な基準に基づく電話や窓口対応を進めていくため、「広聴部門におけるカスタマーハラスメント対策マニュアル」の運用も開始。- 秋田県:
差別の解消をはかり、すべての県民が個性を尊重し合いながら、多様な文化および価値観を受け入れ、並びに互いに支え合う社会の形成をはかることを目的とした条例(「秋田県多様性に満ちた社会づくり基本条例」)が2022年4月1日に施行された。当条例の指針には、カスタマーハラスメント対策が示されている。- 宇都宮市(栃木県):
ホームーページに悪質クレーム防止について掲載された。- 東京都:
中小企業対策の一環として、都内の中小企業約1万社を対象に悪質クレームの実態把握を行った。その結果を踏まえ、中小企業からの相談の対応項目に悪質クレームを盛り込んだ。- 板橋区(東京都):
板橋区のホームページで「悪質クレーム(カスタマーハラスメント)にならない上手な意見の伝え方」を掲載している。消費者センターでUAゼンセンが作成した啓発チラシを配布している。- 新潟市:
市のホームページにカスタマーハラスメントに関する啓発内容が掲載されることとなった。- 長野県議会:
「顧客等のハラスメントを防止するための抜本的な対策を求める意見書」を全会一致で採択、内閣総理大臣、衆参議長へ提出された。同様に、名古屋市、一宮市、岡崎市でも、議会として内閣総理大臣、衆参議長、他大臣あてに意見書を提出した。- 鳥取県:
消費者教育講座や市民向けの講座にカスタマーハラスメント(悪質クレーム)に関する具体例を盛り込むなどの啓発活動を実施している。- 岡山市:
第2次岡山市消費者教育推進計画(2023年度~2027年度)の「(3)人権等に配慮した消費者啓発の推進」に、カスタマーハラスメント対策の必要性が明記された。- 高知県:
カスタマーハラスメントの県民への周知や労働者のハラスメントによる被害防止を目的とするポスターを作成。- 福岡県:
県議会で「顧客からのハラスメント」の抜本的な対策を求める意見書(衆参議長、内閣総理大臣、法務大臣、厚労大臣あて)」を全会一致で可決した。