
重点継続課題
労働・社会政策
防災・減災対策の推進
被災者の早期の生活再建に向け、自治体や企業と連携し地域ごとの防災計画・避難計画・復旧計画の策定を支援する。特に、能登半島地震の教訓を踏まえ、旧耐震基準の建築物の耐震改修の推進や、在宅避難者支援の明確化、自然災害発災時に孤立する可能性のある地域の再確認など、実態に即した地域ごとの備蓄計画の強化を促進する。また、災害時の通信手段確保のため、モバイル通信基地局の配備や衛星通信の活用を拡充する。
災害発生後には、雇用調整助成金や雇用保険の特例措置を迅速に発動し、雇用確保と事業継続を支援する。特に、中小企業や非正規労働者が雇用を維持しやすいよう、特例措置の拡充や財政支援を強化する。
さらに、自然災害被災時において、交通機関の運休や家屋の復旧等で労働者が出勤できない場合の賃金の取り扱いを全国調査し、災害休暇制度の法制化を検討する。加えて、被災地域の企業が災害時の雇用維持策を講じる際に、政府の支援制度を活用しやすいよう、補助金の要件を緩和する。
特に豪雨や台風など、進路などが予測できる場合は、安全確保のために事業場を休業する必要性を周知・啓発し、災害時の休業補償制度の充実を図る。また、事業継続計画(BCP)を持つ企業に対し、優遇措置(税制優遇や助成金)を導入し、企業の防災対策強化を支援する。
2024年1月に発生した能登半島地震では、道路寸断や通信障害により避難所へのアクセスが制限され、多数の孤立集落が発生した。特に旧耐震基準で建設された建物の被害が甚大であり、倒壊や傾斜による重大な建築被害が顕在化した。また、水道・電気・通信といったインフラの被災・復旧遅れが長期化し、在宅避難者への支援が十分でなかったことも課題として浮き彫りになった。
こうした教訓を踏まえ、各自治体の防災・避難・復旧計画の再点検が急務であり、国としても地域ごとの実情に応じた支援が必要である。加えて、災害時のモバイル通信・衛星通信の代替手段の拡充や、備蓄計画の見直し・強化も求められている。
また、災害時における雇用の維持も大きな課題であり、特に中小企業や非正規雇用者は収入減や解雇のリスクが高くなる。雇用調整助成金や雇用保険の特例措置の即時発動と拡充は、災害対応の柱となるべきである。
さらに、災害により交通機関が止まり、労働者が出勤できない事例が多発している。こうした状況下で賃金の支払いがなされない事例もあり、労働者保護の観点から「災害休暇制度」の法制化や、企業に対する補助制度の検討が不可欠である。
BCP(事業継続計画)については、策定していない企業が依然として多く、策定促進に向けたインセンティブの導入が必要である。特に自然災害の進路が予測可能な場合には、事業場の事前休業を促す制度と、それに伴う補償制度の整備が必要である。
災害は単なる自然現象ではなく、社会的脆弱性を露呈する事象である。住民の命と暮らし、働く人々の安全と生計を守るために、平時からの備えと制度の拡充が不可欠である。