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重点継続課題

労働・社会政策

中小企業の定義の見直し

中小企業基本法における中小企業者の定義について、現行の資本金基準および従業員数基準が実態と乖離している点を踏まえ、より適切な企業規模基準の設定を検討する。その際、単なる統一基準の導入ではなく、業種ごとの特性を考慮し、売上高基準の導入や資本構成の見直しなど、より実態に即した定義を構築する。
また、中小企業政策の全体のあり方について検討を進め、現行の支援策が企業の成長を阻害する要因となることを防ぐため、中小企業・中堅企業・大企業の3層構造を明確化し、企業規模に応じた段階的な支援策を整備する。特に、事業規模拡大を目指す企業が支援を受けやすい制度設計とし、成長のインセンティブを強化する。

<背景説明>

中小企業基本法で規定される中小企業の定義は、1963年の制度創設時から資本金または従業員数を基準としており、1999年の改正を経て20年以上が経過した。ところが近年、企業規模の実態や経済環境の変化により、現行の基準が時代にそぐわなくなってきている。特に資本金基準については、節税を目的とした形式的な減資により「疑似中小企業」が生まれ、支援の本来の対象とすべき企業への政策資源が希薄化する問題が指摘されている​。

また、従業員数基準に関しても、小売業が50人未満、製造業が300人未満といった定義は、現在の国際的な基準と比べて著しく小さく、日本企業の規模拡大のインセンティブを削ぐ要因となっている。米国では業種によらず500人未満、EUでは中小企業の上限が250人未満とされており、日本の定義は労働生産性の向上を妨げているとの批判もある​。

中小企業政策は、成長支援と公平な資源配分の両立が求められる中で、企業規模に応じた柔軟な制度設計が不可欠である。2024年の通常国会では、中小企業の定義に該当しない2,000人以下の会社を「中堅企業者」と定義し、さらに雇用や成長投資に積極的な企業を「特定中堅企業者」と位置づけて支援対象とする法改正が行われた。この流れを踏まえ、単なる統一基準の導入ではなく、売上高・資本構成・企業の独立性などを踏まえた実態に即した定義への見直しが急務である。

特に、現行制度下で企業規模が一定以上となると支援対象外となるため、成長を回避するような逆インセンティブが働いているという指摘は深刻である。中堅企業や成長志向型の中小企業が、円滑に支援を受けられる制度整備が求められている。あわせて、各制度間で定義の不整合があることも課題であり、中小企業政策全体の見直しと統一的な定義の構築が求められる。

【中小企業基本法による中小企業の定義】

中小企業者(下記のいずれかを満たすこと)
資本金の額または出資の総額 常時使用する従業員の数(※2)
製造業、建設業、運輸業、その他の業種 3億円以下 300人以下
卸売業 1億円以下 100人以下
サービス業 5,000万円以下 100人以下
小売業 5,000万円以下 50人以下

※1 中小企業関連立法においては、政令によりゴム製品製造業(一部を除く)は資本金3億円以下または従業員900人以下、旅館業は資本金5千万円以下または従業員200人以下、ソフトウェア業・情報処理サービス業は資本金3億円以下または従業員300人以下を中小企業とする場合がある。
※2 常時使用する従業員の数-以下の労働者を除く者
①日々雇い入れられる者(1ヵ月を超えて使用された場合は除く)
②2ヵ月以内の期間を定めて使用される者(所定の期間を超えて使用された場合を除く)
③季節的業務に4ヵ月以内の期間を定めて使用される者(期間を超えた場合を除く)
④試の使用期間中の者(14日を超えて使用された場合を除く)

(注)特定中堅企業者の要件
①企業規模:常時使用する従業員数2,000 人以下の会社・個人(中小企業者・みなし大企業除く)
②直近事業年度の賃金(一人当たり給与支給総額)と従業員数の年平均成長率(3事業年度前比)が業種別平均以上
③中堅企業者の業種別平均以上の売上高成長投資比率
※成長投資は、設備投資額、無形固定資産投資額(M&A、ソフトウェア、特許権等)、研究開発費、能力開発費(研修参加費、研修委託費、留学費用、教材費等)のいずれか
④中堅企業から大企業へと成長する経営ビジョン(長期的に目指す姿、事業戦略、成果目標、経営管理体制)を記載させ、経営力の高さを定性的に評価(外部専門家を活用予定)する。
⑤特定中堅企業者に対する支援措置
・中堅・中小グループ化税制:株式取得価額の最大 100%・10 年間、損失準備金として積立可能
・日本政策金融公庫による大規模・長期の金融支援(ツーステップローン)
 ・知財管理に関するINPIT の助成・助言