
重点継続課題
労働・社会政策
AI等革新的デジタル技術の活用に向けた対応の推進
AI等の革新的デジタル技術の進展が持続的かつ包摂的な経済成長につながるよう、産業界、労働組合、政府の三者(政労使)が協力し、AI等のデジタル技術の適切な活用と労働市場への影響を考慮した包括的なグランドデザインを策定する。そのうえで、中央、地方、産業・業種ごとに政労使がAI活用に関する政策調整を進め、以下の施策を具体化するための協議会を設置し、速やかに実行に移す。
・AI等の革新的デジタル技術導入に向けた労使協議の促進
・AI等の革新的デジタル技術活用のための教育訓練の促進
・デジタル化の進展におけるメンタル面を含む健康被害の未然防止と、職場の安全衛生水準向上のためのAI等の革新的デジタル技術の活用促進
・AIの活用による採用・評価プロセスが公平・公正に運用されるよう、透明性のあるガイドラインを策定し、その徹底を促進する。
・中小企業でのAI等の革新的デジタル技術の導入促進、助成制度の整備
・「技能」の継承に向けた、AI等の活用による人が持つ「技能」の数値化、規格化とそのマニュアル化の推進
AI等の革新的デジタル技術は、人口減少や産業構造の変化への対応、個別ニーズへのサービス提供、さらにはディーセント・ワークの実現など、労働市場や社会全体に大きな可能性をもたらす一方、労働者の雇用や働き方に大きな影響を及ぼす可能性がある。こうした状況に対応するためには、政労使による継続的な対話を通じ、共通認識を形成し、AIの活用方針を含めたグランドデザインを策定することが不可欠である
すでにAIを活用した採用選考や業務最適化が一部の企業で始まっているが、選考過程の不透明さやバイアスの懸念が指摘されている。加えて、AI導入が進む中での情報セキュリティやプライバシーの保護、企業の倫理的責任といった新たな課題も顕在化している。これらに対応するためには、透明性の高いガイドラインやルール整備が必要であり、労働現場での適正な活用が求められる
技能の継承に関しても、AIや感性工学等の先端技術を活用し、熟練者の技を数値化・規格化する取り組みが始まっており、ものづくり現場などにおける技能伝承の手段として注目されている。
さらに、AIの活用が中小企業においても進展するよう、導入費用に対する助成や人的支援が求められる。特に、労働時間削減や労働災害の未然防止、働きやすい環境整備といった視点からも、AIの適切な導入と活用は有効な手段となる。