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UAゼンセン重点課題

労働・社会政策

雇用形態に公正な処遇の整備

有期契約労働者における雇用の安定と処遇改善にむけて、全労働者に対する就業場所・業務の「変更の範囲」の明示、および有期労働契約の通算契約期間または更新回数の上限、無期転換申込機会、無期転換後の労働条件が有期契約労働者に対する労働条件明示事項として追加されたことについて、好事例の収拾をはかり、内容の周知徹底をはかる。
また、施行5年後をめどに本改正の実効性を評価し、無期転換申込権の発生期間の短縮や転換後の労働条件について均衡を考慮した事項に関する事業主の説明義務化、無期転換の阻止を目的とした使用者による行為を禁じる措置の強化を検討する。
パート・有期法の見直しにあたり、雇用形態間の均等・均衡処遇の実現に向けた、「同一労働同一賃金」規定の効果検証を行う。説明責任については、短時間や有期雇用労働者の採用時期に、通常の労働者との待遇差の有無やその内容、理由について事業主の説明を義務化する。また、法第11条(教育訓練)と12条(福利厚生)は、内容を拡充する。
政府の「同一労働同一賃金ガイドライン」については、その目的に照らし、内容の更新をはかる。特に、住宅手当や家族手当、退職金について原則となる考え方を示すとともに、通常の労働者の待遇引き下げによる対応を防ぐ記載の強化や、是正指導・助言の結果を踏まえ、賃金、一時金を含め「問題となる例」の記載を拡充し、内容の明確化および強化をはかる。
加えて、働き方によらず労働者の安全と健康を確保するため、定期健康診断およびストレスチェックの対象となる常時使用する労働者の対象を週20時間以上の者に拡大する。

<背景説明>

2020年に施行された働き方改革関連法の見直しの柱の一つとして、2025年2月より、厚生労働省労働政策審議会同一労働同一賃金部会において、パート・有期法の見直し議論が開始されている。

短時間労働とは、ILOのパートタイム労働条約(第175号条約)にもあるように、本来労働者の長い職業人生において自由に選択できる働き方の一つであり、経済的にも重要な役割を果たす価値あるものだが、選択する労働時間ゆえの課題もある。

UAゼンセン短時間労働者意識調査(2024年6月)によると、「今の就業形態を続けたい」、「今の仕事に働きがいを感じる」といった項目で「そう思う」と回答した短時間労働者は正社員より多く、現在の就業形態への満足度や仕事への手ごたえ感が見られる。また、回答した短時間組合員の半数近くが、「同じ職場で働き続けたい」と回答している。

一方、2022年のUAゼンセン組合員意識調査では、短時間・契約社員組合員が職場で改善・実現を希望する課題は、賃金の改善に続き、一時金や退職金の支給を求める声が高い。

また2023年度の能力開発基本調査では、企業がOFF-JTおよび自己啓発支援に支出した費用の実績は、「増加した」の割合は正社員が正社員以外を大きく上回り、能力開発の成果を評価し、賃金や役職等に反映する割合も正社員以外に対しては正社員に比べ低調である。

労働者がライフスタイルの変化により希望する労働時間を選択し、生産性高く充実した職業生活を送るためには、いわゆる「年収の壁」といった取り巻く環境への対策に加え、「同一価値労働同一賃金」の実現にむけて、今次見直しで、不合理な待遇差の判断基準の検証や、明確化に向けた施策の検討が必要である。また、法第11条の内容を拡充し、職務遂行に必要となるもの以外の教育訓練や、キャリア設計に即した職業能力の開発支援を強化すること、また法第12条の範囲を福利厚生施設に留めず、特別休暇や健康支援等に広げることで、短時間・有期労働者の能力の発揮や福祉の増進をはかることが求められる。

特にパート・有期雇用労働法14条2項の事業主の説明は、不合理な待遇差への対応を促すとともに、短時間・有期契約労働者が待遇差の内容と理由を理解し、納得して働けるよう、今般の見直しで義務化すべきである。

今回の見直しでは、同一労働同一賃金ガイドラインについての議論も行われる。「正社員の待遇引き下げ」によって法対応をはかっている事例があることから、「通常の労働者の待遇を引き下げることは、望ましい対応とはいえない」という記載は強化すべきである。また、労使による取り組みの進展や、政府による監督指導の実績を踏まえ、住宅手当や家族手当、退職金の考え方を示し、定年後の有期雇用労働者の取り扱い等の具体例を記載するなど内容の明確化を行い、職場における待遇差是正の後押しとすべきである。

なお、2022年のUAゼンセン組合員意識調査によると、短時間・契約社員として働く理由として、「正社員として働けなかったから」は契約・期間・嘱託社員の男性で4割強、女性で3割弱を占める。無期転換ルール(労働契約法第18条)の次期見直しに際しては、UAゼンセンの労働政策や加盟組合の実態を踏まえ、無期転換申込権の発生期間の短縮等の検討が考えられる。また、パート・有期法のもと処遇改善が不十分な状態で無期権を行使した場合に対し、同一労働同一賃金の考え方を波及させる具体策の検討が必要である。

2023年度UAゼンセン労働条件実態調査では、週20時間以上30時間未満の短時間労働者へ定期健康診断を実施している加盟組合は81.8%にのぼる。労働時間によらず健康確保の取り組みが進んでいる実態を踏まえ、一般健康診断を実施すべき「常時使用する短時間労働者」の要件を変更し、対象を拡大すべきである。