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重点継続課題

労働・社会政策

労働協約の地域的拡張適用の推進【新規】

企業の公正競争の確保、労働時間短縮などの働き方の改善をはかるため、労働協約の地域的拡張適用を推進する。政府・自治体、中央・地方の労働委員会は、申し立てしやすい環境を整える観点から、これまでの適用事例を積極的に周知する。
労働委員会は、審査の簡素化、迅速化を行い、「一の地域」「同種の労働者」の定義について申し立ての内容を最大限尊重する。「一の地域」において「一の労働協約」の適用を受ける労働者が半数以上となったことをもって「大部分」とみなすこと、および記載されている内容が同一であることを条件に、複数の労使がそれぞれ協定した複数の労働協約をもって「一の労働協約」とみなす運用を行う。

<背景説明>

労働組合法第18条においては、労働協約に関する地域的な一般的拘束力、すなわち地域的拡張適用の規定が設けられている。労働協約の地域的拡張適用は、労働条件の維持および向上を促進するとともに、使用者間および労働者間における公正競争の実現、協約当事者たる使用者の経営の安定化および維持、さらには使用者以外の事業者(例えば、派遣元事業者や下請事業者等)を含む公正な競争の確立に寄与するなど、極めて多岐にわたる重要な機能を有する。そのため、特に人材不足に直面している産業や業種においては、労働協約の地域的拡張適用を積極的に進め、業界全体として働き方の改善を図り、労働の質と生産性の向上に努めることが極めて重要である。

しかしながら、現時点において労働協約の地域的拡張適用が実施された事例は、わずか12例にとどまっている。この拡張適用が進まない背景には、いくつかの要因が存在するが、その一つとして本制度に関する認知不足が挙げられる。この点については、パンフレットやリーフレットの配布、さらには動画等による広報活動を通じて、地域的拡張適用の事例を積極的に周知させることが求められる。また、地方労働委員会においては、地域的拡張適用に関する議論がなされたことがない場合も多く、そのために申し立てに対する取り下げ勧奨がなされる事例も散見される。このような状況を踏まえ、中央労働委員会は、地方労働委員会に対して、具体的な検討内容についての指導を行うべきである。

さらに、申し立ての難易度の高さも、地域的拡張適用が進まない一因となっている。労働組合法第18条第1項には、「一の地域において従業する同種の労働者の大部分が一の労働協約の適用を受けるに至ったとき」と記されており、その後、労働委員会の決議に基づき、厚生労働大臣または都道府県知事が地域内の同種労働者および使用者に対し協約の適用を決定できることが定められている。しかしながら、「一の地域」「同種の労働者」「大部分」「一の労働協約」といった表現が具体的に何を指すのかについては、行政解釈があるものの、その内容や定義については申し立てる側の判断に委ねられており、そのために申し立てる側は、労働委員会における詳細な検討に耐えるための内容を準備する必要が生じ、その結果として申し立ての難易度が一層高くなっている。このため、労働委員会においては、申し立てにある「一の地域」「同種の労働者」の定義を最大限に尊重し、「一の地域」において「一の労働協約」の適用を受ける労働者が半数以上となったことをもって「大部分」とみなし、さらに、記載内容が一致している場合には、複数の労使間で協定された複数の労働協約を「一の労働協約」と見なす運用を採用することで、申し立ての難易度を軽減することが求められる。

(参考)労働協約の地域的拡張適用が認められた事例

業種・職種 申立人 申立て / 決議 / 決定 適用地域 主な適用内容
1 木材及び木製品製造業 吉野連合労働組合 昭和25(1950)年5月6日 申立て
昭和25(1950)年5月23日 奈良地労委決議
昭和25(1950)年8月29日 奈良県知事決定
吉野郡の一 部等 労働時間、休日・休暇、退職金等
2 木材及び木製品製造業 中吉野工場労働組合 昭和25(1950)年12月20日 申立て
昭和26(1951)年6月26日 奈良地労委決議
昭和26(1951)年7月17日 奈良県知事決定
吉野郡の一 部等 労働時間、休日・休暇等
3 木材及び木製品製造業 函館製材労働組合 昭和26(1951)年6月18日 申立て
昭和26(1951)年10月26日 北海道地労委決議
昭和26(1951)年11月28日 北海道県知事決定
函館市等 賃金、労働時間、休日・休暇等
4 ガラス及び土石製品製造業 稲生石灰労働組合協議会 昭和32(1957)年4月2日 申立て
昭和32(1957)年6月4日 高知地労委決議
昭和32(1957)年6月18日 高知県知事決定
高知市、須崎市等 最低賃金
5 石炭鉱業 滋賀亜炭鉱業労働組合 昭和33(1958)年5月26日 申立て
昭和33(1958)年11月28日 滋賀地労委決議
昭和33(1958)年12月22日 滋賀県知事決定
滋賀県全域 最低賃金
6 綿状繊維・糸染色整理業 ゼンセン同盟 昭和56(1981)年9月9日 申立て
昭和57(1982)年4月12日 愛知地労委決議
昭和57(1982)年5月6日 愛知県知事決定
一宮市、尾西市、稲沢市、津島市等 年間休日
7 綿状繊維・糸染色整理業 ゼンセン同盟 昭和59(1984)年9月1日 申立て
昭和59(1984)年12月10日 愛知地労委決議
昭和59(1984)年12月21日 愛知県知事決定
一宮市、尾西市、稲沢市、津島市等 年間休日
8 綿状繊維・糸染色整理業 ゼンセン同盟 昭和63(1988)年11月28日 申立て
平成元(1989)年3月13日 愛知地労委決議
平成元(1989)年3月27日 愛知県知事決定
一宮市、尾西市、稲沢市、津島市等 年間休日
9 家電小売業
(家電量販店)
大型家電量販店
3労組
令和2(2020)年8月7日 申立て
令和3(2021)年8月4日 中労委決議
令和3(2021)年9月22日 厚生労働大臣決定
茨城県全域 年間休日
10 家電小売業
(家電量販店)
大型家電量販店
2労組
令和4(2022)年7月28日 申立て
令和5(2023)年5月18日 茨城県労委決議
令和5(2023)年6月1日 茨城県知事決定
茨城県全域 年間休日
11 家電小売業
(家電量販店)
大型家電量販店
2労組
令和4(2022)年7月29日 申立て
令和5(2023)年2月1日 中労委決議
令和5(2023)年4月11日 厚生労働大臣決定
青森県全域、岩手県全域、秋田県全域 年間休日
12 自治体委託業務道検針員) 自治労福岡市水道サービス従業員ユニオン 令和5(2023)年2月9日 申立て
令和5(2023)年11月16日 福岡県労委決議
令和6(2024)年1月5日 福岡県知事決定
福岡市 最低賃金