
重点継続課題
労働・社会政策
子育て世帯およびひとり親に対する支援強化
子育て中の共働き世帯や就労しているひとり親世帯等に対して、家事代行サービスに関する支出の税制上の軽減措置や子育てに関する企業の手当の非課税化を実施する。
企業内保育所や国または地方自治体が運営する家庭保育所の設置を促進し、家庭的保育者(小規模保育・保育ママ)については、公的機関が直接雇用する制度の導入を検討し、雇用安定を図る。あわせて、保育従事者の労働条件改善やキャリアパスの明確化を支援する。
また、自治体が独自に設定している認可保育園のポイント制度については納得性に欠けることも指摘されており、ポイントの内訳および算出方法の開示や住民の意見反映など、公平性を担保するための取組みが各自治体ですすめられるよう国として指針を明確にする。
子育て世代の家計を支援するため、デジタル技術を活用し、子育て世帯向けの新たな家族カード制度を導入することで、公共料金や子育て関連費用の負担軽減策を検討する。また、行政サービスのデジタル化を推進し、給付金・補助金の申請を簡便化する。
ひとり親家庭の生活の安定と向上にむけ、副業・兼業者への労働時間・賃金の通算による社会保険等の適用にむけ早急に取り組む。特に、低所得ひとり親世帯における社会保険の未加入リスクを低減するため、段階的な支援策を導入する。また、ひとり親家庭等への児童扶養手当の所得制限の撤廃、ひとり親の資格取得を支援する制度の緩和や内容の拡充、土日祝日・夜間・時間外の相談体制を強化する。
共働き世帯や就労中のひとり親世帯は、日常的に家事・育児・就労の三重負担を抱えており、就労時間の短縮やキャリア継続の断念を余儀なくされることがある。
ベビーシッターやハウスキーパーなどの家事支援サービスの活用は、家庭内労働の軽減に資するだけでなく、特に女性のキャリア継続や就労の選択肢拡大にもつながる。
家庭的保育(いわゆる「保育ママ」)は、2015年施行の子ども・子育て支援新制度により正式な保育サービスとして位置づけられたが、その多くが民間委託で不安定雇用となっている。
今後、国や自治体が運営主体として家庭的保育者を直接雇用する制度の導入を検討することで、保育の質の安定と働く保育者の処遇改善を両立させることが必要である。
また、認可保育所の入所におけるポイント制度については、自治体ごとに基準が異なり、納得性に欠けるとの声も多く寄せられている。ポイントの内訳や配点方法を開示し、住民意見の反映を制度化することで、公平性と透明性を高める取り組みが必要である。
子育て中の家計支援策としては、フランスのような「家族カード」制度を参考に、公共交通・生活消費財・教育・レジャーなどの料金割引に利用できる「子育て世帯向け家族カード(仮称)」を創設し、マイナンバーと連動させて自治体施策と統合する形での導入が期待される。
行政サービスのデジタル化も並行して進め、子育て関連の給付金や補助金の申請プロセスを簡素化し、手続き上の障壁を下げることが求められる。
とくにひとり親家庭では、複数の収入源にまたがる就労が一般的であり、副業・兼業者の労働時間・賃金を通算したうえで社会保険適用を可能とする法整備は急務である。
児童扶養手当の所得制限の撤廃も、生活再建・自立支援の観点から有効であり、あわせて、ひとり親の資格取得支援の制度要件緩和や支援内容の拡充も検討すべきである。
土日祝日や夜間など、通常の行政サービス時間外にも相談できる体制を整備し、ひとり親家庭に対する包括的なサポートを充実させていくことが求められている。