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UAゼンセン重点課題

労働・社会政策

安全衛生水準の向上

企業の安全衛生管理体制を強化するため、10人以上の事業場で安全委員会や衛生委員会の設置義務づけや、企業単位で安全委員会等の設置あるいは産業医の選任を義務づける。安全委員会等の設置にあたっては、派遣労働者も派遣先企業の労働者としてカウントされ、委員として安全委員会等に参加できることの周知を強化する。また、50人以上の事業場に安全衛生管理活動計画の作成と労基署への届出を義務づける。さらに、危険有害な作業を行う事業所で働く全ての者の安全衛生管理体制を強化する。

労働者の安全と健康を確保するため、定期健康診断およびストレスチェックの対象となる常時使用する労働者の対象を週20時間以上の労働者に拡大する。定期健康診断は、性差を考慮した検査項目に見直す。また、高年齢労働者や外国人労働者、派遣労働者の増加を踏まえ、特に中小企業において実効性のある安全教育の徹底と地域産業保健センターとの連携強化による健康確保の取り組みを支援するとともに、安全衛生優良企業認定について、取得メリット強化を含め、取得促進をはかる。さらに、業務における心理的負荷に追加されたカスタマーハラスメントについて、労働者の労働衛生の観点からも、カスタマーハラスメントへの理解促進を含めた周知徹底をはかる。

中小企業における労災事故を防止する実効性のある対策として安全装置(センサー、インターロック等)や機械や設備のデジタル化に対する助成制度を設けるなど、一人作業時における労災事故を未然に防止するための施策を強化する。また、労働安全衛生法の新たな化学物質規制を踏まえ、職場における化学物質等の管理が適切に行われるよう、特に中小企業に対する周知や支援を強化する。

<背景説明>

職場における労働者の安全と健康を確保することは、法律で規定する最低限の労働基準である。労基法で就業規則作成義務の基準となる10人以上の事業場においては安全衛生管理体制を義務付ける必要がある。

店舗等で安全衛生活動が十分に行われない理由の一つには、50人未満の事業場に衛生委員会の設置義務がないことや企業全体に安全衛生管理体制に関する義務づけがないことによる。また、安全衛生管理活動計画は、厚生労働省や労働局が作成と提出を推奨しているが、義務ではない。労災防止強化の観点から、企業全体として安全衛生活動に積極的かつ計画的に取り組むよう義務づけることが必要である。

事業主は、危険有害な作業の請負人や同じ作業場で働く労働者以外の者に対し、労働者と同等の保護措置を講ずることが義務付けられており、また個人事業者等に対して取り組むべき災害防止対策等に関しても検討が行われている。危険有害な事業場で働く全ての労働者への安全衛生対策が十分に講じられるよう、安全衛生管理体制を強化する必要がある。

女性版骨太の方針2023及び骨太の方針2023を受けて、事業主検診を充実すべく一般健康診断の検査項目等に関する検討会が開催されている。定期健康診断が性差を考慮した検査項目へと見直しがされるよう求めていく必要がある。 高齢化が進んだ職場では、後継者が不足し安全に対する知識や経験が引き継がれない状況が生まれている。また、外国人労働者や派遣労働者に対してこそ、適切かつ十分な安全教育がなされるべきである。特に中小企業に対する支援が必要であり、労働基準監督署などが安全教育促進施策を拡充していくことや、地域産業保健センターとの連携強化などによる健康確保が急務である。また、2023年9月現在、35社の取得にとどまっている安全衛生優良企業公表制度について、取得メリットの強化を含め、認定企業を増やす取り組みが求められる。

2023年9月、労災認定基準の改正により、業務による心理的負荷に「カスタマーハラスメント」が追加された。そもそも労働者がその被害により精神障害等を被らないよう社会全体の理解を深めることが重要であり、その周知を徹底する必要がある。

さらに、職場の人員確保に余裕がない中で一人作業を余儀なくされている状況を踏まえ、労災事故を未然に防ぐため施策を強化する必要がある。しかし、設備投資に対する助成金や補助金は数多くあるが安全装置単体への投資は対象外となっていることや、製造業では老朽化した設備を何とか使用し続けているところも多く、特に中小企業では安全装置への投資に資金を回せない状況がある。設備の安全装置(センサー、インターロックシステム等)あるいは労災防止や安全衛生水準の向上に資するデジタル投資に対する支援や助成金制度を創設することが求められる。

厚労省「職場における化学物質等の管理のあり方に関する検討会」報告を踏まえ、特に中小企業の職場における化学物質等の管理の適切化を強化する必要がある。