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UAゼンセン重点課題

労働・社会政策

固定的な性別役割分担意識の解消

固定的な性別役割分担意識の解消に向け、1996年の法制審議会の答申に基づき、国民から幅広く意見を聴くなど世論喚起を行いながら、選択的夫婦別氏制度導入を推進する。
また、地域においても、性別役割分担意識を払拭し、多様な家族のあり方を尊重する社会を実現するために、地方自治体と連携し、性別役割分担意識の解消に向けた啓発活動の強化や地域の実情に則した取り組みの支援を拡充する。
あわせて、制度導入にあたっては、子の氏の取り扱いや家族単位での行政手続き、戸籍制度への影響など、国民生活に関わる多面的な課題について丁寧な検証と情報提供を行い、賛否双方の声を踏まえた合意形成に向けた取り組みを進めること。

<背景説明>

日本における性別役割分担意識は、長期的には平等志向が進展してきたものの、依然として「女性は家事・育児に適性がある」といった性別による役割の固定観念が根強く、家庭内の役割や仕事のあり方においても、男女間の固定的な分担意識が残存している。

こうした状況の背景には、法律上の夫婦同姓義務の存在が一因となっており、特に結婚後に女性が改姓することが当然視される現行制度は、性別役割の固定化を象徴する制度と位置づけられている。このような制度は、平等の観点から見直しが求められており、1996年の法制審議会答申でも、選択的夫婦別氏制度の導入が提言されていた。しかし、社会的な合意形成には至らず、制度化の議論は停滞している。

選択的夫婦別氏制度の導入は、「夫婦が同じ姓を名乗るべき」という価値観を否定するものではなく、個々の家族がどちらの姓を名乗るかを選べるようにするという選択肢を広げる制度である。夫婦同氏を希望する家庭には影響を与えず、現行制度を尊重したうえで、個人の選択の自由と多様性を保障するものである。

一方で、「家族の一体感の維持」「子どもの氏の扱い」などを懸念する声がある。これらの声には丁寧に耳を傾けつつ、制度設計において必要なルールや配慮を講じることで、懸念の払拭を行うことが必要である。たとえば、子の氏については、出生時に両親が協議のうえ決定する仕組みを明確に設けることで、実務上の混乱を防ぐことが可能である。

加えて、現行制度下での改姓は、キャリアの中断や実績の継承困難、本人確認の煩雑さなど、特に女性に偏った社会的不利益を生じさせており、これは就業継続や昇進機会の喪失につながる恐れがある。専門職や研究職では、名前が職務成果と結びつく場面が多く、旧姓使用が認められないことで能力が正当に評価されないという指摘もある。

さらに、グローバルに見ると、選択的夫婦別氏制度を導入していない国は日本のみであり、国際的な商慣習や契約上の不整合が生じる場面も増えている。国連女子差別撤廃委員会(CEDAW)をはじめとする国際機関からも法改正の勧告が出されており、こうした国際的な潮流にも対応する必要がある。

したがって、選択的夫婦別氏制度の導入は、単に性別役割の見直しにとどまらず、個人の尊厳と選択の自由、実績の継続性を守りながら、多様な家族の在り方を社会的に包摂する制度改革である。国会における議論の再活性化とともに、国民的な世論喚起や地方自治体による啓発活動、性別にかかわらず互いの尊重と多様性を育む教育の充実など、法整備と地域社会での実践を連動させた包括的な取り組みが求められる。