重点継続課題
産業政策
ノロウイルスの感染症対策の強化
国民に対し、ノロウイルスによる感染症に関する知識等の啓発を強力に推進する。また、営業停止など行政処分のあり方についても検討する。あわせて、ノロウイルスの検査を安価に実施できる体制整備やノロウイルスワクチンの開発を促進する。
厚生労働省の年次別食中毒発生状況によると、食中毒の病因物質別総事件数に占めるノロウイルス起因件数の割合は1998年以降増減を繰り返しながら大きく減少し、2022年の割合は6.5%(962件中63件)でピーク時(2015年40%)のおよそ6分の1であった。食品事業者や従業員、国民のノロウイルスに関する知識の向上と新型コロナウイルスに対する感染防止対策の徹底が大きな要因と考えられる。
ノロウイルスは、発生源が食品事業者なのか利用者なのか分かりにくく、感染源の特定が困難である。主な感染経路は基本的には経口感染であるが、①食品媒介感染(食中毒)、②接触感染、③飛沫感染・塵芥感染がある。①については、企業によるHACCPに基づく食品衛生管理の徹底、従業員に対するノロウイルス検査などさまざまな対応が講じられている。一方で、業態を問わず不特定多数の人が利用する外食店舗(持ち帰り、宅配含む)や受託給食などケータリングといった食に携わる産業では、②および③への食品事業者による対策には限界がある。
また、事件発生時には食品関連事業者に対する風評被害が発生している。受託給食などでは委託者から定期的な検査実施と検査費用が求められ、大きな負担となっている。ノロウイルス感染症の発生を防止するためには、国や自治体が主導して食品関連事業者のみならず国民自らの身を守るために、感染症リスクを含めた正しい知識のより一層の普及啓発活動が必要である。
さらに、ノロウイルスの検査を安価に実施できる検査体制の整備やノロウイルスワクチンに関する臨床試験および治験の実施や薬事承認申請の確実な達成等、ワクチンの開発を促進する必要がある。