重点継続課題
産業政策
保育人材の確保・定着に向けた対策の強化
保育士の確保・定着のため、賃金水準引き上げ等の処遇改善と保育の質の向上に向けた配置基準の見直しあるいは事務作業の簡素化を推進する。
<背景説明>
保育士の処遇改善については、現在、国として対応をはかっているが、賃金構造基本統計調査では、全職種の平均月給と保育士の平均月給の差が依然大きい。子どもの人格形成に大きな影響をもつ専門職としての保育士の人材確保・定着のためには、賃金水準の引き上げ等の待遇改善が必要である。
全国の保育施設は約3.9万ヵ所(2023年4月、子ども家庭庁)で2015年に比べ約1万ヵ所増えている。施設数の増加に保育の質が追い付いておらず、重大事故も後を絶たない。保育の質の向上に向けて、保育士の処遇改善等加算の対象事業範囲を見直すとともに、職員配置基準の見直しが必要である。保育士の配置基準(※)は「保育児童福祉施設の設備及び運営に関する基準」により決められているが、自治体によっては国の基準を超えた配置基準を定めているところもあるなど実態は地域によって異なっている。保育サービスの地域間格差の解消に向けても、配置基準を充実させる方向で見直すことが必要である。加えて、保育現場のDX化推進により、事務作業の簡素化は進んでいるものの、現場の負担減にはさらに取り組みを進める必要がある。また、保育の向上に向けては、「福祉サービス第三者評価事業」のあり方について検討が必要である。
※保育士の配置基準:0歳児3人に対し保育士1人、1~2歳児6人に対し保育士1人、3歳児15人に対し保育士1人、4・5歳児25人対し保育士1人