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重点継続課題

産業政策

持続的な物流の実現【新規】

持続的な物流を実現させるため、以下の施策を講じて製・配・販全体での効率化を進める。

  • 物流を協調領域と捉え、フィジカルインターネットを駆使し、物資や倉庫、車両の空き情報等を見える化し、複数企業の物流資産(倉庫、トラック等)をシェアしたネットワークで輸送するという共同輸送配送システムの普及促進、また、その為のクレートやパレットの標準化
  • 検品レス・伝票レスなど業務効率化を実現させる情報システム分野における標準化としての流通BMS(流通EDI標準)の拡大
  • 荷待ち時間記録を有効活用した荷待ち時間短縮に向けた取り組みの促進
  • 発注・納品のリードタイム延長に繋がる賞味期限における「3分の1ルール」の見直しの促進
  • 海上輸送のみならず、鉄道路線などを活用した長距離輸送網の整備などモーダルシフトの推進
<背景説明>

道路貨物運送業においては、少子高齢化やドライバーの労働環境の悪化により2000年代以降、ドライバー数が急減している状況にあり、このまま対策を講じなければ、2030年には営業用トラックの輸送能力が約34%不足するとの深刻な試算もある(物流クライシス)。加えて、トラックドライバーの時間外労働の上限規制の適用(年960時間)により、事業者の長距離輸送から撤退など、コロナ前の2019年比で最大14.2%(4億トン)の輸送能力不足が起こると試算されている「物流の2024年問題」も危惧されている。

現在、物流コストについては、2010年代後半にバブル期の水準を超え、過去最高になっており、物流コストインフレの構造を放置した場合、2030年時点で、7.5~10.2兆円の経済損失が発生する可能性がある(経済産業省推計)。こうした状況より、持続可能な物流の実現が喫緊の課題となっている。

対策としては、次世代の物流システムであるフィジカルインターネット(インターネット通信の考え方を、物流(フィジカル)に適用した新しい物流の仕組み)の実現が不可欠である。フィジカルインターネットについては、経済産業省及び国土交通省の連携により、2024年3月に「フィジカルインターネット・ロードマップ」を策定・公表し、ロードマップに則った準備が進んでいる。こうした中、物流は企業・業種の壁を越えた連携が必要であることに加え、企業規模に左右されない連携も重要であることから、今後の進捗については適宜注視する必要がある。 また、フィジカルインターネットの実現に向けては、製・配・販横断の情報・データ共有が不可欠であり、AIによる客数予測、需要予測に基づき発注するなど、流通全体で物流の生産性向上、安定した供給体制を実現する必要がある。加えて、情報システム分野における標準化としての流通BMS(消費財流通で唯一の標準となることを目標に設定しているメッセージと通信手順)の拡大や物流クレートやパレットの標準化も不可欠である。

荷待ち時間の問題については、2017年7月より、「貨物自動車運送事業輸送安全規則の一部を改正する省令」が公布され、荷主の都合により待機した場合、待機場所、到着・出発や荷積み・荷卸しの時間等を乗務記録の記載対象として義務化された。国土交通省が荷待ち時間記録を基に2020年に行った調査によると、「30分~1時間」44%、「1時間~1時間30分」17%、「1時間30分~2時間」14%、「2間~3時間」14%、「3時間~4時間」7%、「4時間超」4%という結果でり、荷待ち時間ににより多くの時間的ロスが発生していることが明らかとなった。荷待ち時間の発生は、ドライバー不足が深刻化している状況においては、効率性を阻害する大きな要因であると共に、ドライバーの長時間労働の原因にもなっている。荷待ち時間の削減に向けては、顧客である荷主側に要請することは困難であることから、政府からの勧告や是正指導を更に進めるとともに、バース予約システムやRFIDを活用した検品などのシステム導入に対する国としての支援も必要である。

更には、短期間かつ多頻度小口納品の加工食品物流課題は深刻化する可能性があり、食品廃棄ロスの削減のみならず、物流のリードタイムの延長にもつながる「3分の1ルール」を見直し、「2分の1ルール」を採用するなど、各社のルールの統一も効果的である。

国内貨物の輸送重量(重量ベース)では、自動車が約9割を占めている状況であり、自動車以外の手段の活用も重要な要素である中、全国に張り巡らされた鉄道網を活用するなどモーダルシフトの推進に向け国としての支援が必要である。

ドライバー不足の現状いにおいて、自動運転車を活用した無人配達の普及も重要である中、実用化に向けた支援や、活用事例・ノウハウの共有化に向けた国としての取り組み強化が求められる。